むち打ち症の分類と症状について

むち打ち症は基本的に予防は困難ですが、不幸にも自動車事故にあってしまったら、 できるだけ早く受診するようにしましょう。
事故直後は自覚症状はなくても、2~3日後から症状が現れることもあります。 放置すれば回復が遅れてしまう可能性があります。
また、むち打ち症は、シートベルトを正しく装着し、きちんとした姿勢で乗車するようにすれば、 ある程度は防ぐことができます。

頚椎捻挫型

むち打ち症の中で最も多く、70%を占めるといわれています。
足首などを捻挫した時に内出血が見られますが、 それと同じ様なことが首の周りに起こっていると見なされるものです。
頚椎の骨の周囲にある靭帯や骨と骨の間にある関節包などが 損傷されたものです。

症状としては、

頚部の筋肉や靭帯、関節包の損傷によるものがあります。
脊髄に損傷がなく、強い自律神経失調症状やはっきりした神経根症状もみられない、 主として頭痛、頚部の疼痛、頚項部筋肉の圧痛、頚部の運動制限を中心としたものです。

神経根症状型

脊髄の運動神経と知覚神経が集まっているところを「神経根」と呼びます。
この神経根の周りに腫れが起こったり、引抜きのような損傷が起こると、 それぞれの神経がコントロールしている部位に症状があらわれます。
神経学的検査などにより、他覚的所見が認められます。

症状としては、

神経根に腫れや引き抜き損傷がおこると、それを支配している領域に症状がでます。
上位頚椎の場合は大後頭神経支配領域の放散痛及び神経の圧痛、 下位の場合は首から肩、腕にかけての放散痛、しびれ感、上肢の筋力低下、 筋萎縮、運動及び知覚障害などが起こります。

バレー・リュー症候群型

後頚部交感神経の刺激症状として、 目の症状や内耳の症状、心臓の症状、咽喉頭部の症状などを呈するが、 耳鼻科、眼科、内科などの他覚的所見は乏しいため、 自覚的愁訴が主となります。

症状としては、

椎骨脳底動脈の血行不全により、その支配下の視床下部、脳幹部の血流減少により起こります。
首や肩の症状は強くなく、 「頭痛、頭重、眼精疲労、耳鳴り、難聴、めまい、声のかすれ、記憶や集中力の低下」、 内臓の症状として「食欲減退、消化不良、吐き気」 などの胃腸障害がみられます。

 これらの症状を初期にしっかりと見極め、症状に合わせた 治療をすることで、早期に症状を軽減させることが可能です。